剣舞風荒がさりげなく健闘

2003年 謹賀新年
 初めての水彩風彩色。原画がA4版なもんで、でかいです…。当初はカルタの絵も描こうと思いましたが……何も思いつきませんでした。初めてのオマケ小説付き。
2003/01/01
〜闇軍団新春加留多大会〜

「砕虎魔亜屈【サイコマークツー】!! あきらめてその手を離せっ!!」
 璽悪【ジオ】が、砕虎魔亜屈に向かって叫んだ。
「何を言うかっ、璽悪!! お前こそいい加減に…って、蹴るなァッ!!」
 砕虎魔亜屈が言っている最中に、璽悪は砕虎魔亜屈の頭に自分の足を当てた。
 ここは時隠【ジオン】の国。そしてここでは新春カルタ対決の真っ最中である。
 読み手は時隠にある闇軍団の頭領・若殺駆頭【ワカザクト】、対決しているのは暗黒四天王の武者忍剣舞風荒【ケンプファー】、武者漣飛威【サザビー】、武者璽悪、武者砕虎魔亜屈の四人である。
 新春カルタ大会といっても大きな大会であるわけではなく、毎年恒例の行事でもなく、単なる若殺駆頭の思いつきである。最初は暗黒四天王の誰もがやる気がなく、若殺駆頭も絶対にやりたいという事でもなかったのだが、いざ始めてみると盛り上がるものである。……約一名を除いて。
「璽悪!! 卑怯なマネは許さんぞ!! 正々堂々やれ!!」
 璽悪の卑怯なやり方に、正々堂々としたやり方を好む漣飛威は、耐え切れず怒鳴りつけた。
「黙れ漣飛威! お前、さては自分の調子が悪いからと言って苛立っているな!」
 璽悪は漣飛威にそう言い、再び砕虎魔亜屈とのカルタの取り合いを再開した。
「な、何を言うか!! 何事も正々堂々やるというのは、当然の事であろう!?」
 漣飛威はさらに怒鳴るが、璽悪はそんな事お構いなしである。
「砕虎魔亜屈! 往生際が悪いぞ!!」
「璽悪! それが人の頭を蹴りながらいうことかっ……って、あいたたたたたた――!!」
「璽悪ッ!!!」
 そんな中、三人をただ見つめるだけの参加者が一人―――
「カルタごときでそんなムキにならんでも…」
 剣舞風荒はボソリとそんな事を言った。この場にいる五人の中で唯一盛り上がっていないのが剣舞風荒である。
「何を言うか剣舞風荒!!」
 砕虎魔亜屈は今の言葉を聞き、剣舞風荒に向かって怒鳴った。
「お前、若殺駆頭様の最初の説明を聞いていなかったのか!?」
 璽悪もまた、剣舞風荒に言う。それに漣飛威が続いた。
「このカルタ勝負に勝った者は、少しばかりではあるが褒美がもらえるのだぞ!」
「な、何ッ!?」
 最初からやる気のなかった剣舞風荒は、どうも説明を真剣に聞いてはいなかったらしかった。
「くっ、ならばしっかりと説明を聞いておくべきだったかっ…本気を出せばこんな状態ではなかったものを…」
「一番多くの札を取っておいて、何を言うかぁッ!!」
 剣舞風荒は三人に怒鳴られた。
「スキありっ…この札はいただいたァ!!」
 今できた砕虎魔亜屈のスキをつき、ついに璽悪は取り合っていた札を奪った。
「し、しまった!! …おい、剣舞風荒! 貴様のせいでっ!!」
「なっ…人のせいにする気かっ!?」
「はっはっは、負け惜しみか砕虎魔亜屈?」
「何をっ!?」
「やめんか二人共っ!」
「…今年も先が思いやられるな…」
 若殺駆頭の口からはそんな言葉ぐらいしか出なかった。
…おしまい。

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