カービィ ケーキ屋さんに行く



まずは、自己紹介だね。
オイラ、リック。君たちの世界で言ったら、ハムスターってのに近い体型をしてるんだ。
カービィとは大の友達同士、ってな関係だよ。
あいつと一緒にいると、必ず何か起こるから、退屈しないんだよね。
たいていは、最後にオイラが被害を負うことになるんだけどね。

「おい、カービィ!遊ぼうよ〜!!」
あれは、確かよく晴れた昼下がりの春の日。ポカポカしてて、何もしないでいると眠くなってしまいそうだ。
で、いつも通りカービィの家まで行って呼んだんだけど、反応がないんだな。これが。
「お〜い、寝てるのか?起きろよ〜。もう昼だぞ〜」
ドアノブに手をかけると、待ってましたとばかり、なんの抵抗もなくガチャっと開いてしまったんだ。
でも、カービィの姿はなかった。
「入るぞ…?」
家に一歩足を踏み入れた瞬間。

“ブチッ……”

頭上から音がした。
…頭上?
見上げると、大きな漬け物石が宙を舞い、今まさにオイラの頭上に落ちようとしているところだった。
「??!!!」
とっさに前転して、何とか助かったよ。
落ちたところには、落ちたものに見合うだけの穴が大口を開けていた。
「チッ!外したか!!このドロボウめ!!許さんぞ!!」
と、何故かソードをコピーしたカービィが目の前に……
「誰がドロボウだぁッ!!!!(怒)」
で、オイラはカービィにハイキックをブチかました。
カービィはそのまま暖炉まで飛んでったよ。
「……あ、リックじゃん。な〜んだ。ドロボウじゃなかったのね。ゴメンなさい☆(笑顔)」
なぜか無性に腹が立ったので、さらにローキックを叩きこんだ。

「…全く、ドロボウじゃないならそう言ってくれれば……」
体にできた傷をさすりながら、カービィはオイラの背中に乗っていた。
「白昼堂々とドロボウするヤツなんか普通いないって。つーか、見てオイラだって分かって欲し……かったな……(視線下向き)」
「あ!アレ見てよリック!」
「(ヒトの話ぐらい聞けよ……)……アレって…?」
ケーキ屋があったんだ。
新装開店でもしたのか、外装も内装もピカピカだった。
「へぇ〜、こんな所にケーキ屋が…」
「お腹も減ったし、いざ行かんリック〜!!」
ぴょんと飛び降りて、たったかと駆け出して行くのだった。
「ちょっと待て!カービィ!お前、財布はどうした?」
「ボクの家の中♪」
「おッおい、ちょっと待てよ!!金払うの誰だと思ってるんだ!!(半泣)」
「気にしない気にしないラララ〜♪」
「ラララじゃねぇッ!!!(泣)」

そんなワケで、半ば強制的に店内に入れられたわけだったけど。
そこらじゅうケーキだらけ。品揃え豊富。豊富すぎる。
「わぁ〜!!ケーキだケーキ〜♪」
……全く、こういう時だけ目を輝かせやがって…
「いっただっきま〜す!!」
え?“いただきます”?
カパッと口を開けて、ピンク色の彼は吸い込む用意。
ガードするのにオイラは必死だったよ。
下手すりゃ店ごと吸い込む勢い。
店員の、「おッお客さま!!おやめ下さい!!つーかやめてぇぇ〜」という怯えた声が今でも忘れられない。

結局、カービィをなだめて、何とかケーキ12切れで帰らせることができた。
お財布の中身ギリギリだったね。間に合ってよかった。
ホッと一息。
ついているヒマもなく、カービィは隣のドブ川にケーキを落とした。
ポチャン。
「あ」
「『あ』じゃねぇだろこのピンク丸めがぁぁ!!(泣)」
彼はしばらく立ち止まって、
「大丈夫、ボクは食べられるから…♪」
そして、落としたケーキは無事に箱ごとカービィの腹へと消えていったのだった。
「ごちそうさま♪(笑顔)」
またしても無性に腹が立ち、オイラは彼にミドルキックを叩き込まねばならなかった。



てらさん、有難う御座いました!
私はカービィもリックも好きです。


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