武神輝羅鋼外伝・『刀流義守の一人旅』



「魔星様が亡くなって、もうあんなに経つのか・・・。」
俺の名は武者刀流義守。先の戦いで、頑駄無軍団と共に戦った武者・・・、とでも言っておこうか・・・。
「武羅星もすっかり大将軍殿の弟・・・、俺の居場所はない・・・。」
俺は、それだけ呟いて歩き出す。

頑駄無軍団と頑駄無闇元帥の戦いから5年・・・。
天宮はすっかり平和を取り戻し、武者達はそれぞれ娯楽の日々が続いていた。この国を治めているのは相変わらず武威凰大将軍だ。しかし、俺は自分の居場所を探して当てのない旅を続けている。
「ん・・・、あれは?」
子供が一人、大きな武者たちに囲まれている。
「俺たちの縄張りで何してるんだ〜?ガキが・・・・。」
「ご・・・、ごめんなさい・・・・・。」
子供はブルブル震えている。
「おい!」
大きな武者が、俺の方を向いた。
「あぁ〜〜〜ん?」。
俺は一瞬で刀を抜き、大きな武者に斬り掛かった。
「ぎええっ!!」
「何だこいつ!?」
「とっちめろ!!!」
大きな武者達が大勢で刀流義守に飛び掛った。
「無駄だっ!!」
俺は大きな武者全員を斬りつけた。
「安心しろ、みねうちだ・・・・。」
俺は刀を納め、子供のほうに近づいていった。
「大丈夫か?」
その子供は腰を抜かしているようで、動かない。
「だ、大丈夫・・・・。」
刀流義守は子供の無事を確認すると、後ろを向いて歩き出そうとした。が・・・。
「待って!」
その子供が俺を引き止めた。
「おじちゃん、強いんだね!だったら、僕達の道場に来てよ!僕、零丸(ゼロマル)!」
道場か・・・。まぁ、どうせ行く所もないしな・・・。
「いいぞ、連れてってくれ!」
そして、零丸は俺の腕をつかみ、全速力で走り出した。

そして、ここは零丸達の道場――――
「たーっ!」
「やーっ!」
子供達の元気な声が響いている。
俺は零丸に連れられ、『先生』と言う人のところに来た。
「先生!お客さんだよ!僕のこと助けてくれた人!」
そう言いながら零丸は扉を開けた。その奥には、座禅を組んでいる武者がいた。
「先生、座禅は中止!お客さんだよ!!」
数秒の沈黙。そして・・・・、
「ん?」
座禅を組んでいた武者は立ち上がり、俺のほうに歩み寄ってきた。
「紹介するよおじちゃん、この人が僕達の先生で、この道場で一番偉い遮陰頑駄無(シャインガンダム)先生だよ。」
「あ、よろしくお願いします・・・・。」
遮陰頑駄無は、俺に向かって軽くお辞儀をした。
「よろしくお願いします。俺は、武者刀流義守です・・・。」
「む、武者刀流義守!!?」
俺の名を聞いて、遮陰頑駄無は大声を張り上げた。そんなに驚かなくても・・・。
「と、と、と、刀流義守と言ったら、5年前の戦いで頑駄無軍団と共に戦っていたお方ではありませんか!」
俺って、そんなに有名だったのか・・・?
「まぁ・・・そうですが・・・。」
「こんな方が、私なんかの道場に来ていただけるとは!!いやはや、光栄です!!」
遮陰に(むりやり)連れて行かれ、俺は子供達のたくさんいる部屋に来た。
「みんな―――、練習は中止だ!!お客さんだぞ――――!!!」
子供達が一斉に俺のところに来た。
「みんな―、この人は頑駄無軍団と一緒に戦った強―――い武者なんだぞ―――!!」
その夜は、ずっと(子供達も一緒に)宴会をやっていた。俺位の武者が、こんなに歓迎されるとは・・・・。

次の日・・・・。
「オラオラァ!!昨日俺様のかわいい子分達をやっつけたのは誰じゃァァァァァ!!!」
街中に、その大声が響いていた。
昨日のデカい武者のことか!俺は、道場を飛び出して大声のするほうに行ってみた。すると・・・・。
「誰だぁ!!俺様の子分たちを傷つけたのはァ!!!」
昨日のデカ武者よりもさらに大きい武者がいた。金棒を持った、まるで鬼のような武者だ。
「おい!そこのデカブツ武者!」
俺の声が聞こえたようで、そのデカ武者はこっちを向いた。
「なんじゃぁ〜〜〜!?俺様に対して『デカブツ』じゃとォォォォ〜〜〜!!?」
デカ武者は怒っている。
「この、鬼王頑駄無(オーガガンダム)様にそんな口を利くとは・・・・!!まさか、お前が昨日の・・・!!?」
「まぁ、そういうことになるかな。」
鬼王頑駄無は震えて黙っている。しかし・・・、
「きぃ〜〜さぁ〜〜まぁぁぁぁ!!!!」
地面が震えている・・・。なんて威圧感だ・・・・。
「許さァァァァァァァン!!!!」
鬼王の怒りが爆発したようだ。ものすごい顔で俺に向かってくる。
『ドッガァァァァァン!!!』
鬼王の棍棒が地面に激突する。すると、そこにはクレーターができていた。
「しょうがないか・・・はぁぁぁっ!!!
俺は、刀から白い衝撃波を出した。
「ぐええええっ!!!」
刀から出た白い衝撃波は、鬼王に激突した。
『ドォォォォォォン!!』
鬼王は倒れこんだ。子分達が、鬼王を起こそうと必死になっていた。
「安心しろ、みねうちだ・・・。すぐに目を覚ますだろう。」
俺は、そう言って道場に戻った。

「すごい、すごいよ刀流義守!!!」
道場に帰ると、中から俺のことをみていた子供達が飛び掛ってきた。
そんなに凄いのか?俺・・・・。
「やっぱり頑駄無軍団と一緒に戦った戦士だね!!」
遮陰が、また騒ぎ始めた・・・。
「よ―――――し!!今日も宴じゃ、宴!!!!」
お前が飲みたいだけだろ・・・。
「さ――――、あんたも飲みなさんな!!」
もう酔ってるよ、この人・・・。
それで、その宴はまた夜明けまで続いた・・・。
終わった時に起きていたのは俺だけだった・・・。

次の日・・・。
「うぅぅ―――、頭が痛いィ・・・。」
やっと起きたか。俺は、何時間も前に起きていた。
昨日の宴会騒ぎの光景が頭から離れず、なかなか眠れなかったが・・・。
「で、今何時です?刀流義守殿。」
「昼の12時・・・。」
一瞬の沈黙。そして・・・・、
「なんですとォォォォォォ!!!?」
俺は腰が抜けて、座り込んでしまった。
「こっ、子供たちは!?みんな、起きてるのか!?」
遮陰は猛スピードで、子供達の(いつもは)眠る部屋に走っていった。
そして、子供達を全員叩き起こして連れてきた。
「ふぁぁぁぁ・・・眠い・・・・。」
子供達は皆あくび連発だった。
俺はふと思った。
俺は、いつまでもここに居ていいのか?
果たして、俺がここにいる意味があるのか?
そう思って、遮陰に聞いてみた。
「なぁ、遮陰殿。俺は、ここに居る意味があるのですか?」
遮陰は、いきなり真面目な顔になって考え込んだ。
「あなたがそう思うのなら、ここに居ない方がいい。」
「・・・・そうですか・・・。」
その時、遮陰がいきなり拳を一撃繰り出した。
俺は、それをさっとかわした。
「なっ、何を!?」
遮陰の雰囲気がいつもと違う。
そして、遮陰は静かに話し出した。
「あなたを決心させるため、いくらでも攻撃しますよ・・・。」
仕方ないか・・・。
俺は刀を抜き、遮陰を外に連れ出した。

「ここなら本気で戦えるな・・・。」
俺は刀を構えた。
「はぁぁぁぁぁっ!!!」
遮陰は拳から炎を出し、俺に向けてきた。
俺はそれをかわし、遮陰に突撃した。
「効かんッ!!!」
遮陰がもの凄い力で俺を吹っ飛ばした。
「くくく・・・・。わしの最強の一撃、喰らうがいいッ!!」
遮陰は両手から黒い炎のような物を出し、発射した。
「暗黒天驚拳ッッッ!!!!」
ドォォォォォォォォン!!!!!
周りのものを巻き込んで、俺を倒そうとしている・・・。
「お前、遮陰じゃないな!?」
道場の近くで見ていた子供達は、ざわついていた。
「くっくっく・・・。その通り・・・!」
「我こそは遮陰の中のもう一つの人格、暗黒頑駄無なり!!!」
・・・・暗黒・・・!?
「・・・・な―――んちゃって、うっそ――――ん♪」
どがぁぁぁぁぁぁっ!!!
「いやぁ、すまん、すまん!あの暗黒天驚拳は幻なんだ・・・♪」
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!!!!!」
「いやぁ、ほんとにすみ・・・ギャァァァァァァァ!!!!!!」






とりあえず、遮陰に突撃貫通斬を喰らわせた俺は、彼らに別れを告げて(治療しなくていいのか!?)再び旅立った。
子供達に、「行かないで!」とか「僕達の先生になってよ!」とか言われたが、「すまない、みんな。じゃあ、またな。」とだけ言ってきた。
俺は、『自分の居るべき所』がどんな場所なのか少しだけわかったような気がした・・・。
そして俺は、今日もどこかを旅しているだろう・・・。




じいむうさんのホームページ「じいむう’THE’ROOM」(リンク集参照)でキリ番1500をふんだ時にリクエストした物です。
あ、ふんだ当時は「武神輝羅鋼の館」でしたが。
私はSD戦国伝で好きなキャラは凄く多いんですが、刀流義守もまた好きなキャラの一人です。
尚、ここに掲載する際、形式をウチのサイトにあわせて少し変えさせていただきました。


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